災害文化事例カタログ

いざという時のスキルを身に付けよう「サバイバルキャンプ@AONE MATKA」晴れたぜ2日目編

イベントの様子をまとめた映像はこちら!

1日目のレポートはこちらから!

いざという時のスキルを身に付けよう「サバイバルキャンプ@AONE MATKA」大雨の1日目編

スケさんは晴れ男だと言うし、実は記事書いてる私も晴れ人間なんだけど、晴れ×晴れはひょっとして土砂降り?まさか…と疑いましたが、待望の朝陽です!


蔵王の山肌も上の方から徐々に太陽が当たってきました。今は6時20分です。
今回のルールでは6時半から大きな音立てて良いことにしています。そろそろ皆さんテントから出てくる時間でしょう。


外で寝ていた家族は大丈夫だったのでしょうか。
中からガサゴソ音が聞こえて、チャックが開きました。
おはようございます!寒かったですか?
ちょっとだけ寒かったけど、よく眠れたそうです。そしてお父さんは、まだ寝てます。


体育館は暖かかったのかな?
眠れましたか?と聞くと、少し寒いけど思いのほかゆっくり眠れたそうです。
体育館のように大きな空間では、よほど大きな暖房設備でもなければほぼ外気温と同じ。だとしたら音が反響する体育館の中より、自然の音がする屋外でテントを張った方が当たりだったかもしれません。


焚き火の煙が朝陽に光ります。火があるっていいですね。


さあ、朝からサバイバルメニュー。作るのは「フライパンひとつで作る炊き込みご飯」です。
災害時には、出来るだけ手軽に栄養のあるものを食べたい。アルファ米でも栄養は十分に摂れますけど、やはり美味しいに越したことはないですよね。今朝のサバ飯(サバイバル飯)のコンセプトは「燃料は少なく、そして失敗しない」です。


ポイントは、味付けと具を兼ねて缶詰を使う点です。
缶詰は保存性もいいので、非常持ち出し袋に入れておけばそのままでも食べられます。例えば避難所に入っても、ご飯にプラスすると栄養も気持ちもアガリますね。
今回は焼き鳥の缶詰を使います。


待ってました!外へ行きましょう。
晴天の大空のもと、サバ飯調理に挑戦です。


野菜は火が通りやすいように小さめに刻みます。そうです、指先は猫の手で。


美味しく作るポイントは「前の晩にお米を水に浸しておく」ことです。長時間浸水しておくと、早く炊けて燃料が少なく済みます。炊飯器でご飯を炊くと時間がかかりますが、この作り方だと15分もあれば出来てしまいます。


では、炊き込みを開始します。
味付けは麺つゆ。しっかり目に味付けします。米一合に大さじ1ぐらい。


フライパン炊飯の利点は、水加減が気になったら蓋を開けて確認できること。意外でしょ。
ご飯を炊く基本は「初めチョロチョロ、中パッパ。赤子泣いても蓋とるな」ですが、釜と違って浅いフライパンで煮込むように作る炊き込みご飯は、加減を何回も見て大丈夫なんです。


あれ?昨日の残りご飯に味噌塗って温めてる人がいる。
これも冷ご飯をおいしく食べる知恵ですね。


湯気が減ってきたら火を弱火にし、底の方から小さな音がパチパチいったり、かるい焦げの匂いがしたらOK。軽い焦げなら、お焦げのあたりのモチモチした食感が美味しいんですよ。


出来た!?ほら。炊飯器と違って蓋を開けて確認できる。だから失敗しないんです。


さ。炊けたので茶碗によそいましょう。 スケさんが芋煮(宮城風の味噌味)を作ってくれていました。 校舎を出て、野菜を刻んで味付けをして、ここまでで45分しかかかっていません。


ん〜美味しい!あっという間にできたのに美味しい。「これ、家でもできるわ」「すごい簡単!」って声が聞こえてきます。具材は鯖、鮭、アサリ、何でも楽しめます。テフロンのフライパンで作れば、洗い物もあっという間です。


ご飯の後は、焚き火でマシュマロ焼き。


ここで一旦屋内に戻ってスケさんの「テント片付け方講座」ですが、ここも少し長いので別レポートにします。
テントって、きちんと形になっていると頑丈ですが、化学繊維でできた布なので濡れたままにすると劣化します。片付け方って、長持ちさせるためにも大切なんです。

>>テント片付け方講座(別ページ)


食事も終わり、テントの片付けも終了。
とうとうサバイバルキャンプ最後のプログラムとなりました。講師は、吉本興業『山形県住みます芸人』のソラシド本坊元児さんです。


本坊さんは、地上波テレビ「とろサーモン村田とソラシド本坊のアウトドア日和」(仙台放送)でキャンプ&アウトドア情報を楽しく発信しています。
今回のサバイバルキャンプでは、火おこし体験の講師をしてくれます。
「え〜実はこの火おこし機では一回も成功してません」
え!そうなの???


トライしてみましょう。
はずみ車を利用した火おこし機ですね。コマを止めないようリズムよく回転を維持すると。錐の下から煙が出てきました。


木が削れてできた火種を、麻をほぐした繊維束に移し、空気を送り込むと・・・消えました。
火に必要な三要素は「酸素」「可燃物」「熱」。熱が足りなかったようです。


なかなか、はずみ車の火おこし機は難しいようです。次は金属を擦り合わせるファイヤスターターを試してみます。マグネシウムの金属棒を強くこすることで火種を作るんですね。


強く擦り付けると火花が散ります。この火花がうまく可燃物の上に残ると、真っ赤な火種が光る。空気を送り込むと「点いた!」成功です。


この火おこし体験も、詳細はすごく長いので別ページで紹介します。
子供たちはもちろん、お父さんが夢中になっています。

>>ソラシド本坊さんの火おこし講座(別ページ)


そして、成功した人のご褒美。スケさんが焚き火で作っていてくれた焼き芋が振舞われました。


本坊さんを囲んで、みんなで記念写真。


2日間でいろいろなことがありましたね。大雨。カレー水没。テント泊。焚き火。
キャンプって「まあ何とかなる!」というマインドと、あるもので工夫するスキルが身に付きます。これは災害が起きても役立つはずです。まさに災害文化ですね。

スケさんから、キャンプは2泊からキャンプだよとメッセージがありました。1泊のキャンプでは、荷物を開いてテントを立てる>>泊まる>>片付けて帰る、だけになっちゃうんです。皆さんも次回はもっとゆっくり楽しんでください。そしてキャンプという非日常を日常使いできるようになれば、災害時でもそのマインドやスキルがきっと役立つはずです。

private camp base AONE×MATKA 完全貸切のキャンプ場「アオネ×マトカ」 ホームページ

いざという時のスキルを身に付けよう「サバイバルキャンプ@AONE MATKA」大雨の1日目編

イベントの様子をまとめた映像はこちら!

まずは第1日目がスタート。
はじめに、仙台市から挨拶です。


サバイバルキャンプにご参加いただきありがとうございます。
皆さんは災害文化という言葉を聞いたことがありますか?地震や台風など、自然災害の発生は防ぐことはできません。そういった中でも生きていける知恵やスキルをひっくるめて災害文化と呼ぼう、災害文化を広めていこうと仙台市は考えています。その一環で、今回皆さんに挑戦していただくサバイバルキャンプも立派な災害文化です。ぜひ、楽しんで、発見して、体験した知恵やスキルを日常の生活に持ち帰ってください。


今回のサバイバルキャンプ全体を管理するのはprivate camp base AONE×MATKAのスタッフ小野俊介さんです。子供たちからはスケさんって呼ばれているそうです。


このキャンプ場で働いているかと思われていますが、メインの仕事は「森の幼稚園」で子どもたちに自然体験をしてもらうことです。ただ、この大きな施設を「森の幼稚園」だけで使うのはもったいないので、一般のキャンプ場として“ついで”に開放しているわけです。
キャンプについて最初に言っておきたいことは、「無理をしないことが大事」ということです。寒かったらストーブを点ける。テントが無理なら車で寝る。無理をするとつまらなくなるので、楽しむことを大切にしてほしいです。防災にもそのマインドを持って帰ってもらえたらと思います。


では、防災サバイバルキャンプのプログラムの始まりです。
最初に登場したのは、イラストレーターのico.(イコ)さん。


ico.さんは、一般誌のイラストのお仕事のほかに、ご自身の被災体験を生かした防災啓発活動をしています。


ico.さんのかつての家は、名取市閖上の海岸近くにありました。東日本大震災発災時は、たまたま用事で出てきた仙台市の街中にいましたが、交通がすべてストップしたため家に帰ることができず、たまたま身を寄せた民間ビルで一夜を明かしました。津波により自宅は壊滅。そして、移り住んだ福島市では2018年の水害で自宅が流出という大変な状況を2回も経験しています。


3.11の1日目は特に不足したものはありませんでした。一番大事なのは、命です。命があれば何回でもやり直せると実感しました。そして、これが2日目になると、不足したのは眼鏡でした。眼鏡って度がそれぞれなので「貸すよ」と人に言われてもぜんぜん見えないんです。その経験を生かして、今では防災ポーチを作って、眼鏡や必要最低限のグッズを持ち歩いています。

ico.さんの3.11サバイバルのお話は別ページにて。
>>イラストレーターico.のPLAYBACK震災(別ページ)


ico.さんは被災体験を生かし「被災シミュレーションもしもすごろく」を作成しました。


すごろくと言っても、ゲーム盤としてのすごろくではなく、災害発生時に取るべき行動をすごろく風に描いたイラストです。


今回は、すごろくの内容をわざと間違った内容に描きかえたすごろくを準備しました。
何が間違っているかな?家族で協力して間違いを探します。
災害への対処法を学ぶには、遊びも必要ですね。知らず知らずのうちに災害を乗り越える知恵が身につきます。


次のプログラムは野外活動のはずだったんですけど…雨なんです。そこでスケさんのテント張り方講座は体育館で開催しました。


機会がなければテント泊なんてしません。でも、ひとつ持っていれば何かと役に立つのがテント。意外に暖かいんですよ。
スケさんのテント張り方講座は、別ページにて。

>>テントの張り方講座(別ページ)


いま世の中で売っているテントで名前の通っているブランドのものならまず間違いないです。大切なのはフロア(床)の耐水圧。2000ミリあれば、万が一地面が水溜りになっちゃっても、テントに水は入ってきません。ちなみに市内の中古アウトドア屋さんを巡ると、けっこう上等なものが安く手に入れられます。買う時に古いものは避けて。フロアの状態と防水加工の具合は必ずチェックです。


雨は止みませんが、意を決していざ屋外へ。アウトドア用具の解説です。


ここでお話しすることは、災害時の明かりのとりかたです。
最近では電池式のLEDランタンなど便利なものも増えています。登場した頃よりはだいぶ良くなりましたが、キャンプで使うとなると、まだ少し力不足かな。それでもだいぶ改善されていますが、他の燃料式に比べるとまだまだと言ったところです。


お勧めできる灯りは、やはり燃料式。使う燃料によって3つに分類されます。
この燃料は、灯りに使ったり調理に使ったり多用途に使えるので、できるだけ同じ種類の燃料で揃えておいた方が便利です。


1)ホワイトガソリン
自動車用のガソリンなどよりも純度を上げてあるガソリンで、缶に入って売っています。
火力が強く、寒い環境でも問題なく使えます。古くからあるので、調理用バーナーやシングルバーナーなど、道具もメーカーの垣根を越えて選べます。構造が簡単なので滅多に壊れません。ただ問題があって、燃料代が高いです。昔は4リットル1700円ぐらいで買えたんですが、今は3500円ぐらいします。緊急時には一時的に自動車のガソリンが使える機種もあります。

2)キャンプ用のガスボンベ(OD缶)
これは燃料にブタンガスを使っていますので、寒い環境だと力が落ちてしまいます。LPG(液化石油ガス)を足した寒冷地用もあります。問題は、タンクが専用形状なので一般的なお店では手に入りにくいこと。専用のタンクを使うので割高でもあります。

3)カセットコンロのボンベ(CB缶)
通常はCB缶と呼んでいます。以前は安かったんですが、最近は少し割高かな。欠点は、寒さに弱くて、燃料が減ってくると出力も落ちること。とはいえコンビニエンスストアでも売っているので、入手しやすいのが長所です。


そしてスケさんのオススメは、CB缶のランタンです。スケさんは12年前の震災のとき、実際にこのカセットボンベの灯りで過ごしました。明るいだけではなく、火を焚くので暖かいんです。憶えていますか?東日本大震災の日は雪がちらつく寒さでした。このランタンを灯けるとほんのりと暖かいんです。
ちなみに、ECO CLEANの缶の右横にあるランタンはコールマンのノーススターですね。ガソリンランタンでは最大の明るさのランタンです。扱いには少し慣れがいるけど、ガソリンランタンは構造が単純で故障知らず。寒さに強く、燃料を補充すればいつまでも使える。そして非常〜に明るい。


スケさんは、災害時の持ち出し袋にリュックを活用しています。ランタンや寝袋、バーナー。何かあったら、これを担いでいけばいい。簡単ですね!


真剣な眼差し。でも、雨で寒いです。(参加者にも屋根代わりのテントがあります。でも吹きっさらしなので。)ちなみにアウトドアウェアはこんな状況の時でも、濡れても、暖かいんです。おしゃれなウェアも増えました。普段着にアウトドアウェアというのも何かと安心かもしれません。


さあ、晩御飯を作ります。コンセプトは「限界まで水を節約した」サバイバルカレー作りです。
ハプニングとか、スケさんの用意したサプライズもありますが、これはカレー作り編で紹介しますね。

>>サバイバルカレー作り編(別ページ)


限界まで水を減らしたカレーライス作りに使うビニール袋は「主婦の味方ア〇ラップ」。耐熱温度は120度です。ビニール袋に具材と水を入れて、他のビニール袋には米と水を1合。これを大きな鍋に張ったお湯の中でぐつぐつと煮るだけ。こうすることで洗い物は減りますし、お湯は口に入れるわけではないので川の水でもお風呂の残り湯でも何でも使えます。災害時に限られた水で料理するサバイバル術ですね。


雨が酷くなってきたので、一旦建物の中に避難。夕食までの時間で、テントを張りましょう。


スケさんに教わった手順で、テントを組み立てます。
基本的にテントは、一人でも組み立てはできるんです。ただ一人だと、ポールの反対側が抜けないように上手に力を入れるなどコツが必要です。今回は家族で協力しあって作業を進めます。ポールの組み立ては「こんなに押し曲げていいのかしら?」って思うぐらい曲がるけど、それでいいのです。


雨の中、組み立てたテントを外に運ぶ強者がいた!
せっかくのサバイバルキャンプ。今夜はどうしても外で寝たいそう。テントの位置は出来るだけ水の溜まらない高いところにしましょう。


スケさんは焚き火で何か仕込んでいますね。これは後のお楽しみ。


カレーの具材とご飯をゆで始めます。鍋のお湯が沸いて、その熱が伝わるだけなのでビニール袋の中の温度は100度を越えないんです。煮詰まったり焦げついたりの失敗もありません。火の通ったカレーと炊き上がったご飯は鍋にあるうちは保温状態になるだけ。時間を気にする必要もありません。


ビニール袋から、お皿に盛って完成です。大丈夫、ちゃんと出来ていました。


と、あれれ?スケさんが外で仕込んでいた鍋を持ってきました。この鍋は「ダッチオーブン」と呼ばれています。オランダ人のオーブンですね。アメリカ開拓時代によく使われた、焚き火で調理できるオーブンです。豆を煮たり、パンを焼くことも出来る万能鍋です。スケさんは鶏丸々一羽にハーブ塩をまぶし、ジャガイモやニンジンと一緒に熾火で時間をかけて調理していました。


おお!カレーライスのお皿が一気に豪勢になりました。



美味しい?美味しいよね~

食後は、コンロでマシュマロを焼きました。本当だったら焚火を囲んで食べたかったけれど
天気の良し悪しも含めて、これ全部がアウトドアですから。

ということでかなり端折ってもこのボリューム。
書いても書いても終わらない記事は、二日目編へと続きます。

>> いざという時のスキルを身に付けよう「サバイバルキャンプ@AONE MATKA」晴れたぜ2日目編

テント片付け方講座

テントのたたみ方を説明します。
はじめに、血液型がA型の人。細いことをキッチリしたがりですか。では、B型の人。割とザックリしていますね。テントをたたむには、割とザックリした人の方が向いています。


何となくきちんとたたんだ方が良いと考えがちですが、実際はそうでもないんです。
なぜなら、いつも同じ所でテント生地が折り曲がっていると、そこに負荷がかかって生地が弱くなってしまうんです。特に防水処理をされているフライシートやフロアなどは折れたところから傷んできます。
なので、たたむ時は角を合わせないでザックリとがポイントです。


フライシートを止めているペグなどを抜いて、一箇所に集めておきましょう。外したペグをその辺に置いておくと、だいたい紛失して足りなくなります。ペグはテントの前など一箇所に置いておきます。
フライシートを外した時に、外側を地面に向けておくと汚れが生地に染みません。


雨が降らなくてもテントのフロアは濡れているんですよ。そんな時、手慣れている人は写真のようにテントをひっくり返してフロアを朝陽に向けておくんです。(ただ、風に注意を)テントはちゃんとテンションがかかっていれば、ひっくり返しても壊れません。
テントをたたむ前に本体を傾けて、中に溜まっているゴミを入り口から払い出しておくと良いですよ。


入り口のチャックを閉じてからテントのポールを外して本体を潰しますが、ただ、入り口の下辺りの部分だけ少し開けておいてください。チャックを開けておくと、テントの中の空気が早く抜けて手早く片付けできます。


フレームを取り外します。この時にフレームを引き抜かないでくださいね。テント本体のスリーブ(ポールの入る筒状のとこ)の中でフレームが外れると、引っかかって取り出すのがとても厄介になります。ポールを引き抜くのでは無く、本体の生地をたぐって収縮させ、スリーブから自然にポールが出てくるようにしてください。


ポールを端から折りたたむ人がいますけど、これはダメです。端から折りたたんでいくと、ポールを繋ぎ止めているバンジーコードがどんどん伸びてしまいます。伸びたまま保管していると、バンジーが劣化し伸び癖がついちゃうんです。仕舞う時は必ず真ん中(あたり)で一回たたんで、その後はだいた端からでも大丈夫です。


本体は、左右からだいたい半分ぐらいにたたみますが、この際にあまりキッチリ真ん中とか同じ位置で折らないように。同じ所ばかり曲がっちゃいますので。


さらに半分に折ると、だいたいテントを入れるスタッフバックの長さになります。これを適当に折りたたんでいくと、どうにもバックに入らない。


クルクルクルって巻いて、おしまいです。


アウトドア用品は、値段に比例して軽くなります。生地が軽くて、小さくなるんですね。写真はスケさんのマイナス15℃対応の4万円!の高級寝袋です。中綿は羽毛なので、本当に小さくなります。バックの中に端っこからグイグイ押し込んでもバックに綺麗に収まります。


さてさて、外にテントを張っていた家族がテントをたたむようです。


ほら。入り口のチャックを開けていないから、ポッコリ膨らんで風船みたいになっちゃった。
そしてお嬢さんは何をしているでしょう?膨らんだテントが風で飛ばされないよう体重をかけるお手伝いです。
少しぐらい手順を間違えても、結果オーライ。楽しんだもの勝ちですね。

ソラシド本坊さんの火おこし講座

今日は、火おこしの体験をしてみたいと思います。
普段は火なんてライターで「パッ」と点いちゃうんですけど。災害の時とか、サバイバルな状況で、ライターも何もないときに、あなたは火を起こせますか。


よく、映像であるでしょ。木を擦りつけたあとに口元でフーってやって火を起こすの。今日はこれで火を起こすんですけど。ぼく、これで火が点いたこと一回もないんです。
乾布摩擦で擦ると暖かくなるでしょ。あれをエゲツなくやると熱を持つんですよ。熱を持ってるところには火種ができている。火種に麻紐をほどいたやつ、何もないときはポケットの中溜まっているゴミあるでしょ。あれでも火がつきます。


では、さっそく実演です。
はずみ円盤型の火起こし機ですね。円盤がカウンターウエイトになっているので、アームの上下動の際に主軸に巻き付いた紐、要はここにエネルギーが溜まっているわけなので、往復運動させることで軸が回転する。説明だけでメンドくさくなってきましたね。このクルマを止めないように往復させるのがコツです。


これは弓錐型の火おこし機。弓の部分が同じく主軸に絡んでいます。円盤がない分だけ力は要りますが、軸を真上から押し続けることが出来ます。


参加者のお子さんに試してもらいました。ただ、やはり弾み車を使った機械などは動かし続けるのに力が要るので難しかったかな?


そこで中学生のお姉さんにやってもらったところ、錐の先から煙が上がり始めました。


お父さんと協力して火おこし。火種ができたかな?って思ったけど消えちゃった。
なかなか難しいですね。


そこで、道具を換えました。この金属棒はマグネシウムで出来ていて、鋼鉄製の板で強く擦ると火花が飛びます。この時のマグネシウム片の温度は400℃を超えるそうで、ただ、破片が小さいのですぐに燃え尽きてしまいますが、大きな熱量を発することができます。


使ってみての発見だったんだけど、大きく火花を飛ばそうと長いアクションで手を動かすより、可燃物のすぐそばでガリガリと、軽い動作で小さな火花を連続的に起こした方が、発火しやすいみたい。試行錯誤で子供たちが編み出した技でした。


道具に慣れたら、丸めた新聞紙でも火がついてしまった。


続いて虫眼鏡を使った火起こし。
太陽光を集めて、新聞の黒い部分に焦点を合わせました。お父さんは火種にくべる麻を持って待機しているけど。焦げるだけでなかなか発火しません。


そこでひと工夫。新聞紙を丸めて黒い部分を中心に、凹みの中の黒い印刷部分に太陽光を当てると、火がついた!
消防士さんに聞いたことがあるけど、火が起きるには可燃物と酸素、そして熱が大切なんだって。新聞の凹んだところに焦点を当てたので熱が籠りやすくなり、さらにタイミング良く少し風も吹いたんですよね。


本坊さん、ありがとうございました。

サバイバルカレー作り編

今日のサバ飯はサバイバル飯。鯖飯ではありません。
コロナのせいで世の中アウトドアブームですが、アウトドア料理というよりは、防災寄りの料理です。
今日作るのはカレーです。「やっぱりカレーかよ!」普通です。だけどテーマがありまして、極限まで水を節約しなきゃいけない状況下でのサバ飯です。


やることはとてもシンプルです。これから皆さんにお配りする鍋です。


お米の炊き方ですが、主婦の味方ア〇ラップ。これ一袋に一合のお米を入れます。お米と同じ量のお水を入れます。そして出来る限り中の空気を抜いて、できるだけ上の方で口を閉じます。これで準備は終わり。お米は浸水した方がうまく炊けるので、30分ぐらい放置します。洗米したい方は方法を考えてください。今日は、水を極限まで使わないので、無洗米で炊きます。


小さく切ったニンジン、ジャガイモ、玉ねぎとソーセージ、コンソメを入れて、水は200cc。カレールーの箱の表記で作ると300ccの水となっていますが、今回の料理では水分が蒸発しないので、少なめにします。正直サバイバルだったら、シャバシャバしている方が食べやすいです。


お米を入れます。具も入れます。鍋で茹でます。はい終わりです。
これで炊けるんです。ご飯は沸騰してから20分もあれば食べられます。カレーは少し面倒で、具材だけ煮て、ご飯ができた段階で一度 袋を開けてカレールーを追加して、もう一回煮ます。カレーを最後に入れるのは、ルー入っている小麦粉が膜になって野菜が煮えにくくなるからだそうです。カレーは火にかけたら1時間で食べられます。


これが仕上がりです。
これのどこがサバイバルか?というと、このまま食べればいいんです。一洗い物が一個もでない。これが第一のサバ飯ポイント。そして、煮る水は川の水でもいいんです。お風呂の水でも、少し汚れた水でも問題なし。食べないんですから。飲み水がわずかでも、ちゃんとカレーができる。第二のサバ飯ポイント。


説明のあとも、スケさんは炭から火を起こして、サプライズのおかずを作っていました。働き者ですね。


さあ、参加者の皆さんの調理開始です。
ア〇ラップの耐熱温度は120℃、水の沸騰温度は100℃です。水が沸騰し続けている間は、温度は100℃を超えないのでアイラップの中の食材は焦げもしなければ水分も逃げない。「保温」状態が保たれるんですね。これならよほどのことが起きない限り、失敗しない。なるほどです。


良い具合かな?袋の中で野菜は煮込まれています。


いよいよ野菜が煮えたようなので、カレールーの投入です!
そして、写真見てわかります?スタッフのカレー鍋には異変が!なんか鍋のお湯が黄色くないかい?「あぁ!ビニールに穴が空いてる!!!」え〜みなさま大変です。事故が起きました。
鍋のお湯の量が少ないと袋が密着した底の温度が一時的に高温になり、ビニール袋に穴が空いてしまいました。どうする?とっさの緊急対応で、すべての水を捨て具材を鍋に戻し、カレールーを入れました。やれやれ。「普通のカレー作ってどうすんだい!?」企画の趣旨を無視し、食事確保に走るスタッフ鍋。


事故を横目に、ちゃんとサバ飯が出来ている家族。


そして、スケさんが外の焚き火で料理していたものは、ダッチオーブンで焼き上げたチキンのハーブ焼きでした!鶏から美味しいオイルが滲み出てきて、付け合わせのジャガイモとニンジンの旨みを引き立てます。


ビニール袋からお皿によそう。災害時にはビニールからでも食べられるとはいえ、やっぱりお皿で食べたいですね。お皿にラップを敷けば洗い物が減ります。紙皿の活用もアリです。


美味しそうですね。スケさんのおかずが載って、サバ飯とは思えない豪華さです。


スケさん。ありがとう。


うん。美味しい。スタッフ用のカレーも美味しかったですよ。普通の作り方ですもん。


食後にコンロでマシュマロを焼いて楽しみました。

イラストレーターico.のPLAYBACK震災

災害時に必要なことは何か?をお話しするためにきました。イラストレーターをしてます。ico.と書いてイコと読みます。

イラストレータがなぜ防災活動をしているかといいますと、12年前の東日本大震災の頃、私は名取市の閖上に実家がありまして、津波で被災しました。そのあと8年後には移住した福島でも2018年台風19号の水害で家を流されたという体験があり、2度、モノに頼れない暮らしを経験しました。この経験を活かそうと防災啓発活動を始めました。


東日本大震災を経験していないお子さんもいると思います。私の体験が次の災害の時に役立つかもしれません。今日は当時の記憶や体験をプレイバックします。


震災前、私の家は、ダッシュすれば1分で海という場所にありました。父は消防士をしていたので「地震が来たら津波が来るぞ」と家族会議でよく聞かされてきました。津波って何か当時は想像もできなかったのですが、防災意識は高めの家族でした。


3月11日当日ですが、ちょうど会社を辞めたタイミングであり、仙台市青葉区北四番丁にあった会社に退職届を提出するため午後1時に自宅を車で出発しました。

会社で書類のやり取りをしていた時に地震が起きました。古いビルの一階に事務所があり、大きく揺れて何もできず「このままだと潰れる」と感じたので建物の外に出ました。支店長がその場で解散命令を出したので建物にも入れず、私は街で独りぼっちになりました。


地震でどんな被害が出ているか想像できなかったので閖上に帰ろうと思ったのですが、停電で立体駐車場から車が出せなくなっていました。徒歩で帰ろうと考えましたが、当日は雪がちらつき、余震も何回も起きていましたので断念しました。発災直後から「まさか」の連続で、状況も刻々と変わりました。仙台駅では電車もバスもタクシーも動かず、人でごった返していました。たまたま防災ラジオを持った方がおり、沿岸に「大津波警報」が発令されたことを知りました。役立ったグッズといえば、やっぱりラジオです。わたしはそれで、閖上に帰っちゃいけないという判断ができました。

閖上には帰れないと分かった時に、避難する先を考え頑丈な建物を避難先に選びました。小学校や中学校が避難施設となっていましたが、人がいっぱいで断られたり、人が多すぎて椅子に座って一晩過ごしたりしていました。とりあえず名取を目指し、南に向かいました。五橋のホテル1階のファーストフード店をよく利用していたこともあり、そのホテルを目指しました。そのホテルでは、会議室に避難所を設置して、私たちを呼び寄せてくれました。その晩は乾パンと毛布を提供いただいて安全確保ができました。

1日目には、不足したものなどは特にありませんでした。安全確保をするまでに一番大事なのは命で、命があれば何回でもやり直せるんだなと感じました。

これが2日目になると、メガネが無くて困りました。私はメガネの度が人と全く違うので「貸すよ」と人に言われてもぜんぜん見えません。


今はこうやって防災ポーチを作って、メガネや最低限のグッズを持ち歩いています。

物や防災グッズに関してはあればいいけど、臨機応変に工夫する力が大事だと思いました。基本的に物はなくなるので、身一つで何とかすることが大事ということが分かった体験でした。


震災から一夜明けました。家族会議では、非常時には姉の家に集合しようと決めていたのでしたが、私は話半分でよく憶えていなく、仙台に一人ぽつんと残されてしまいました。そんな私が、どうやって家族と合流したかというと、長町あたりまで歩いた時に偶然、私を探しに来た家族の車に発見されたのでした。

私は幸運にも見つけてもらいましたが、皆さんは非常時にどうやって家族と集合するかをあらかじめ決めておいてくださいね。


私が大切だと思うのはやはり「家族会議」です。被災時、電話も携帯も繋がりませんでしたし、子供などはやはり話半分でしっかり覚えていないかもしれませんが、何回も繰り返せばイザという時に思い出されるのではないでしょうか。家族の中で合言葉のように繰り返せば、暗黙知と言いますか、何も言わなくても動ける子になると思います。

テントの張り方講座

AONE MATKAのスケさんこと小野俊介さんのテントの張り方講座です。テントの選び方などとても実用的。では、解説をはじめます。

よく聞かれるんです。「テントは何がいいですか?」
テントに限らず、アウトドア用品は基本的には値段が性能に比例します。ブランドの価値はあると思いますが、基本的には高ければ値段に直結する何かがあると思ってください。


この施設では、アウトドア用品としては名前の通ったコールマンというメーカーのものをメインで使っています。いいテントだと思いますよ。大人だと4〜5人は快適に眠ることができます。フレクションポールという2本のポールで組み立てるドームタイプというテントです。初めて買うには良いと思います。3万円しないとおもいますがシンプルでいいテントです。


テントは、袋を開けると基本的に3つの部品が入っています。
フライシートと呼ばれる外側のテント。いわゆる雨避け、服でいえばカッパです。そして本体。こちらは室内側。2層に分かれています。本体側には防水機能はありません、なぜならテントは凄く結露するんです。朝にはびちゃびちゃになっていると思いますよ。なので、本体には防水性がなく、外にカッパのようなフライシートをかけて、空気を通してあげます。


ペグです。袋に入っています。テントを地面に固定する道具です。
だいたい最初からついてくるペグはプラスチックでできていて、めっちゃくちゃ使いにくいです。なので、100均でもいいので金属製のペグに買い替えることをお勧めします。ペグは正直、高くないので、一本100円でも200円でもいいので金属のものに換えることを勧めます。


そしてポールです。これは凄く長いです。余裕で隣のテントサイトに侵入できるぐらい長いので、お子さんと協力して作業した方がいいかな。隣の人をツンツンならいいけど、車をガリってやったら泣きますしね。(筆者より>>よく組み立て中に人に踏まれるなんて事故があるんで、周囲の人の動向に気をつけてね)


では広げます。だいたい四角かな。入口の方向に気をつけて。地面に広げるときに、もうどこから入るか、テントをどこに設置するかの見当をつけます。


テントには袋状のポールを通す筒(スリーブ)があるので順に通していきますが、これがなんせ良く折れます。
経年劣化で折れる時もありますが、大概は中途半端にポールが挿さったまま組み立ててテンションをかけてしまう。そしてバキッと折れる。ポールを差し込む時は、確実に差し込むことを心がけて。


この時に、ポールを引っ張ったりしてはダメです。引っ張るのではなく、生地を手繰ってポールを端から押し込む要領で、しっかり差し込む。確認する。十分気をつける。(筆:だいたい途中で引っ張ってくれる”親切な“人がいるので、余計な手を出さないか注意する)だいたい、途中でポールが抜けかけている時は、生地の端っこが固定用の穴(グロメット)にスムーズに入らない(ポールが不自然に10センチぐらい余る)から、そういう時は力任せではなく、いったんテンションを緩めてポールの状態を確認してください。


ほぼ全てのテントには、ポールの端っこを収める構造があります。そこに「こんなに曲がっていいのかな」と思うでしょうが、心配しないで、お子さんがいるなら協力して本体にテンションをかけてください。ポールを押し込む感じではなく、生地を引っ張って固定する感じです。


あとは、テントの前に前室を作ります。これも、テントによって形はまちまちです。無いものもあります。家で言うとこの玄関で、靴を脱いだり入り口に雨の当たらない空間を作り出します。

だいたいは、フライシートの端っこには本体の端っこについているものと同じ素材のフックだったりクリップだったり何かがあります。これで四隅を留めます。
そして、風が強く吹いた時などに本体に無理な力が入らないように、マジックテープで途中を固定するものもあります。この辺りは、各メーカーで違いがあります。このマジックテープは、なくても建つけど、あれば風が吹いた時に風圧でテントが大きく歪んでも壊れることはありません。


入り口はこんな感じ。今日は屋内で関係ないですが、テント入り口にはメッシュの虫除けがついてます。
この虫除けですが、開けっ放しにすると凄く羽虫が入ります。(筆:海外の一部のメーカーは防水処理に芳香族の薬剤を使っているので、張った当初はとくに虫が寄ってきます。)なので、このメッシュは開けっぱなしにしないように。


最後に、ペグを打っておしまい。打ち込む角度は、直角から45度のあいだなら強度的には関係ないと言われています。


そして最後に参加者から質問です。クマはいますか?
「います。周辺には確実にクマはいますが、ここにはこれまで来ていません。その代わりに猿や鹿がいます。食べ物などを外に出さないように気を付けて」
スケさんはどこで寝ますか?
「中で寝ます。正直、キャンプ先で雨が降ってる時は家に帰る自信があります(笑)ただ、雨の中のキャンプはやれば楽しいですよ。速攻でテントを張って。でも、もう慣れているので帰ります。今日は予報ではそこまで雨が酷くならないから、外で寝ると楽しいと思いますよ。」
正直なスケさんでした。