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まずは第1日目がスタート。
はじめに、仙台市から挨拶です。
サバイバルキャンプにご参加いただきありがとうございます。
皆さんは災害文化という言葉を聞いたことがありますか?地震や台風など、自然災害の発生は防ぐことはできません。そういった中でも生きていける知恵やスキルをひっくるめて災害文化と呼ぼう、災害文化を広めていこうと仙台市は考えています。その一環で、今回皆さんに挑戦していただくサバイバルキャンプも立派な災害文化です。ぜひ、楽しんで、発見して、体験した知恵やスキルを日常の生活に持ち帰ってください。
今回のサバイバルキャンプ全体を管理するのはprivate camp base AONE×MATKAのスタッフ小野俊介さんです。子供たちからはスケさんって呼ばれているそうです。
このキャンプ場で働いているかと思われていますが、メインの仕事は「森の幼稚園」で子どもたちに自然体験をしてもらうことです。ただ、この大きな施設を「森の幼稚園」だけで使うのはもったいないので、一般のキャンプ場として“ついで”に開放しているわけです。
キャンプについて最初に言っておきたいことは、「無理をしないことが大事」ということです。寒かったらストーブを点ける。テントが無理なら車で寝る。無理をするとつまらなくなるので、楽しむことを大切にしてほしいです。防災にもそのマインドを持って帰ってもらえたらと思います。
では、防災サバイバルキャンプのプログラムの始まりです。
最初に登場したのは、イラストレーターのico.(イコ)さん。
ico.さんは、一般誌のイラストのお仕事のほかに、ご自身の被災体験を生かした防災啓発活動をしています。
ico.さんのかつての家は、名取市閖上の海岸近くにありました。東日本大震災発災時は、たまたま用事で出てきた仙台市の街中にいましたが、交通がすべてストップしたため家に帰ることができず、たまたま身を寄せた民間ビルで一夜を明かしました。津波により自宅は壊滅。そして、移り住んだ福島市では2018年の水害で自宅が流出という大変な状況を2回も経験しています。
3.11の1日目は特に不足したものはありませんでした。一番大事なのは、命です。命があれば何回でもやり直せると実感しました。そして、これが2日目になると、不足したのは眼鏡でした。眼鏡って度がそれぞれなので「貸すよ」と人に言われてもぜんぜん見えないんです。その経験を生かして、今では防災ポーチを作って、眼鏡や必要最低限のグッズを持ち歩いています。
ico.さんの3.11サバイバルのお話は別ページにて。
>>イラストレーターico.のPLAYBACK震災(別ページ)
ico.さんは被災体験を生かし「被災シミュレーションもしもすごろく」を作成しました。
すごろくと言っても、ゲーム盤としてのすごろくではなく、災害発生時に取るべき行動をすごろく風に描いたイラストです。
今回は、すごろくの内容をわざと間違った内容に描きかえたすごろくを準備しました。
何が間違っているかな?家族で協力して間違いを探します。
災害への対処法を学ぶには、遊びも必要ですね。知らず知らずのうちに災害を乗り越える知恵が身につきます。
次のプログラムは野外活動のはずだったんですけど…雨なんです。そこでスケさんのテント張り方講座は体育館で開催しました。
機会がなければテント泊なんてしません。でも、ひとつ持っていれば何かと役に立つのがテント。意外に暖かいんですよ。
スケさんのテント張り方講座は、別ページにて。
いま世の中で売っているテントで名前の通っているブランドのものならまず間違いないです。大切なのはフロア(床)の耐水圧。2000ミリあれば、万が一地面が水溜りになっちゃっても、テントに水は入ってきません。ちなみに市内の中古アウトドア屋さんを巡ると、けっこう上等なものが安く手に入れられます。買う時に古いものは避けて。フロアの状態と防水加工の具合は必ずチェックです。
雨は止みませんが、意を決していざ屋外へ。アウトドア用具の解説です。
ここでお話しすることは、災害時の明かりのとりかたです。
最近では電池式のLEDランタンなど便利なものも増えています。登場した頃よりはだいぶ良くなりましたが、キャンプで使うとなると、まだ少し力不足かな。それでもだいぶ改善されていますが、他の燃料式に比べるとまだまだと言ったところです。
お勧めできる灯りは、やはり燃料式。使う燃料によって3つに分類されます。
この燃料は、灯りに使ったり調理に使ったり多用途に使えるので、できるだけ同じ種類の燃料で揃えておいた方が便利です。
1)ホワイトガソリン
自動車用のガソリンなどよりも純度を上げてあるガソリンで、缶に入って売っています。
火力が強く、寒い環境でも問題なく使えます。古くからあるので、調理用バーナーやシングルバーナーなど、道具もメーカーの垣根を越えて選べます。構造が簡単なので滅多に壊れません。ただ問題があって、燃料代が高いです。昔は4リットル1700円ぐらいで買えたんですが、今は3500円ぐらいします。緊急時には一時的に自動車のガソリンが使える機種もあります。
2)キャンプ用のガスボンベ(OD缶)
これは燃料にブタンガスを使っていますので、寒い環境だと力が落ちてしまいます。LPG(液化石油ガス)を足した寒冷地用もあります。問題は、タンクが専用形状なので一般的なお店では手に入りにくいこと。専用のタンクを使うので割高でもあります。
3)カセットコンロのボンベ(CB缶)
通常はCB缶と呼んでいます。以前は安かったんですが、最近は少し割高かな。欠点は、寒さに弱くて、燃料が減ってくると出力も落ちること。とはいえコンビニエンスストアでも売っているので、入手しやすいのが長所です。
そしてスケさんのオススメは、CB缶のランタンです。スケさんは12年前の震災のとき、実際にこのカセットボンベの灯りで過ごしました。明るいだけではなく、火を焚くので暖かいんです。憶えていますか?東日本大震災の日は雪がちらつく寒さでした。このランタンを灯けるとほんのりと暖かいんです。
ちなみに、ECO CLEANの缶の右横にあるランタンはコールマンのノーススターですね。ガソリンランタンでは最大の明るさのランタンです。扱いには少し慣れがいるけど、ガソリンランタンは構造が単純で故障知らず。寒さに強く、燃料を補充すればいつまでも使える。そして非常〜に明るい。
スケさんは、災害時の持ち出し袋にリュックを活用しています。ランタンや寝袋、バーナー。何かあったら、これを担いでいけばいい。簡単ですね!
真剣な眼差し。でも、雨で寒いです。(参加者にも屋根代わりのテントがあります。でも吹きっさらしなので。)ちなみにアウトドアウェアはこんな状況の時でも、濡れても、暖かいんです。おしゃれなウェアも増えました。普段着にアウトドアウェアというのも何かと安心かもしれません。
さあ、晩御飯を作ります。コンセプトは「限界まで水を節約した」サバイバルカレー作りです。
ハプニングとか、スケさんの用意したサプライズもありますが、これはカレー作り編で紹介しますね。
限界まで水を減らしたカレーライス作りに使うビニール袋は「主婦の味方ア〇ラップ」。耐熱温度は120度です。ビニール袋に具材と水を入れて、他のビニール袋には米と水を1合。これを大きな鍋に張ったお湯の中でぐつぐつと煮るだけ。こうすることで洗い物は減りますし、お湯は口に入れるわけではないので川の水でもお風呂の残り湯でも何でも使えます。災害時に限られた水で料理するサバイバル術ですね。
雨が酷くなってきたので、一旦建物の中に避難。夕食までの時間で、テントを張りましょう。
スケさんに教わった手順で、テントを組み立てます。
基本的にテントは、一人でも組み立てはできるんです。ただ一人だと、ポールの反対側が抜けないように上手に力を入れるなどコツが必要です。今回は家族で協力しあって作業を進めます。ポールの組み立ては「こんなに押し曲げていいのかしら?」って思うぐらい曲がるけど、それでいいのです。
雨の中、組み立てたテントを外に運ぶ強者がいた!
せっかくのサバイバルキャンプ。今夜はどうしても外で寝たいそう。テントの位置は出来るだけ水の溜まらない高いところにしましょう。
スケさんは焚き火で何か仕込んでいますね。これは後のお楽しみ。
カレーの具材とご飯をゆで始めます。鍋のお湯が沸いて、その熱が伝わるだけなのでビニール袋の中の温度は100度を越えないんです。煮詰まったり焦げついたりの失敗もありません。火の通ったカレーと炊き上がったご飯は鍋にあるうちは保温状態になるだけ。時間を気にする必要もありません。
ビニール袋から、お皿に盛って完成です。大丈夫、ちゃんと出来ていました。
と、あれれ?スケさんが外で仕込んでいた鍋を持ってきました。この鍋は「ダッチオーブン」と呼ばれています。オランダ人のオーブンですね。アメリカ開拓時代によく使われた、焚き火で調理できるオーブンです。豆を煮たり、パンを焼くことも出来る万能鍋です。スケさんは鶏丸々一羽にハーブ塩をまぶし、ジャガイモやニンジンと一緒に熾火で時間をかけて調理していました。
おお!カレーライスのお皿が一気に豪勢になりました。
美味しい?美味しいよね~
食後は、コンロでマシュマロを焼きました。本当だったら焚火を囲んで食べたかったけれど
天気の良し悪しも含めて、これ全部がアウトドアですから。
ということでかなり端折ってもこのボリューム。
書いても書いても終わらない記事は、二日目編へと続きます。